|
グラフィックボードの選び方
グラフィックボードとは
グラフィックボードとは、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)を搭載した拡張ボードのことで、主にグラフィックの処理を専門とします。
このパーツは数年前まではゲーマーや3Dを必要とする専門家などが使っていました。
しかし近年、Windows VistaなどOSが3Dを要求することでグラフィックボードの需要が高まり、注目を集めています。
今回は、このグラフィックボードの選び方からその後のちょっとしたQ&Aについて書いていきたいと思います。
グラフィックボードの役割
グラフィックボードとは何者か、徹底的に調べてみましょう。
・映像を高速に処理
ゲームをしていて、「メモリを増やしても遅い」「どうにもできない・・・」といった時、原因となっているのが意外とグラフィックボードであったりします。
Windows Vistaでは、GPUの役割をフルに活用する命令を搭載することでCPUの処理を軽減し、総合的に処理速度をアップさせる機能があります。
そのほかのOSでも、ゲームの速度やベンチマークのスコアが向上するなど、システム全体の性能には直結しないものの、
一つあるだけで応答速度が体感的に上がる、搭載して損をしない部品です。
・マルチディスプレイ
グラフィックボードがあれば、同じ内容の映像、あるいは全く独立したデスクトップを一つのコンピュータを中心として複数個作ることができます。

最小で2つのマルチディスプレイを設定することができます。
特殊なアダプタなどを使えば、2つ以上のディスプレイに映すことも可能ですが、性能が落ちてしまいますのであまりお勧めできません。
また、サブモニタは無理に液晶ディスプレイである必要はありません。
最近のグラフィックボードですと、HDMIという端子を搭載したグラフィックボードが多数ありますので、美しい高画質の映像と
共にパソコンから出る音声もHDMI端子に出力することができ、それに対応したテレビでそれらを見ることができます。
要するに、サブモニタにはテレビも出力の対象として接続できるということを忘れないでください。
GPUの種類
グラフィック・プロセッシング・ユニットと呼ばれるこの部品には、様々な種類がありますが、それを主に作っているメーカーを紹介します。
(ボードを作っているメーカーではなくてその元となる部品を作っているメーカーです。)
・ATI
・NVIDIA
主にはこの二社によりグラフィックボードの元(GPU)が作られています。
よって、カードを正常に動作させるためのソフトウェアなどは、ここから入手するということになります。
ATIはRadeonという製品を、NVIDIAはGeforceという製品を作って二社でいろいろと火花を散らして競争しています。
私たち消費者はどちらを選んでも特に問題はありませんが、どちらともメリットがありデメリットがあります。
これはグラフィックボードを色々買って初めてわかることですので、どちらか迷うなあ、と思ったら私的にはNVIDIAをお勧めします。
(ATIは日本語のホームページが少ないので・・・)
グラフィックボードの性能
グラフィックボードの性能に左右するであろう項目をいくつか列挙します。
・GPU
これは、時代と共に新しい技術を搭載したGPUへ変わっていきますので、時代の新しいGPUほど高性能ということになります。
・メモリ量
これが多ければ多いほど、複数のモニターと接続しても(マルチディスプレイ)
グラフィックの描画処理がおろそかになることなく、スムーズに表示されます。
また、かなり複雑なゲームをプレイする時でも、かなりのパフォーマンスを発揮します。
・メモリバス幅
これは、メインの性能とは直結しませんが、影でかなり重要なものです。
メモリバス幅は、大きければ大きいほど、GPU(コア)とメモリとの道が大きくなり、1秒間で転送できるデータの量が増えます。
すると、結果的に画面の描画処理が速くなり、高性能ということになるのです。
・メモリタイプ
これはあまり性能に影響するものではありませんが、迷われる方が多いので解説しておきます。
メモリには種類があり、主にDDRという規格のメモリが使われます。
DDRとDDR2でどちらが早いかというと、DDR2のほうが速く、一部グラフィックボードでは
DDR2よりさらに早いDDR3やDDR4、DDR5というメモリを搭載したものもあります。
・各種クロック(コア・メモリ)
コアやメモリにはクロックという物があります。
CPUにもクロックという物がありますが、これとほぼ同じような意味合いです。これの値が高ければ高いほど、早く処理できるということです。
早く処理できるということは、人間でいえば「早く仕事をこなせる」ということで高性能となるのです。

わかりにくい人のために、図にまとめてみました。まず、GPUとメモリがあります。
GPUとメモリの間には、メモリバスという二つを結ぶ専用の道があります。
1.この幅の値が大きければ大きいほどコアとメモリの矢印が多くなるから、高性能。
2.そして、GPU(コア)のクロックが高ければ高いほど、グラフィックの処理を速くできるので高性能。
3.コアの向こうにあるメモリのクロックも高ければ高いほど高性能。
・スロット
最後に、スロットという物があります。これは、PCIやAGP、PCI Expressなどのことです。
グラフィックボードで一番能力を発揮するのは、PCI Expressという規格です。
この規格は2005年あたりから定着し始め、今ではメーカーのパソコンのマザーボードにも付いているはずです。
かなりの伝送速度を持ち、どのようなグラフィックカードにおいても最高の性能を発揮します。
次に、AGPという規格があります。
これは、グラフィックボード専用のために作られた規格ですが、今では衰退傾向にあります。
しかし、まだまだ愛用者・利用者は多く、見捨てることのできない規格です。
AGPには倍率があり、2x・4x・8xが現在のところ規格化されています。
8xが一番カードとGPUを結ぶ速度が速く、2xが一番速度が遅いということになります。
その次に、PCIという規格があります。
これは十年ぐらい前に策定された規格で、皆さんも一度は使ったことがあるのではないでしょうか。
TVチューナーやサウンドカードを始め、多くのカードでPCIが採用されています。
伝送速度はAGPよりもさらに低めですが、「映ればいい」「ゲームはしない」という方には
低価格で楽に装着できるPCIがよいのではないかと思います。

3スロットの能力をグラフにしてみました。
どれか良いかというと、ダントツPCI-Expressですが、パソコンによってはそのスロットが付いていない場合があります。
その場合は、そのパソコンに付いているスロットにあったグラフィックボードを増設することになります。
・カードのサイズ

カードのサイズには二種類有り、「LowProfile」サイズと、「標準サイズ」があります。
このサイズを間違えると、グラフィックボードがパソコンに装着できません。そこで、見分ける方法を紹介します。

自分のパソコンがLow Profileかどうかは説明書の[各種カードの増設]の欄に書いてあると
思いますが、どこにあるかわからない人のために、簡単な見分け方を用意しました。
まず、パソコン本体の奥行きを調べてください。
一般的に、35cm以上あれば標準サイズ、35cm以下であればLow Profileサイズのカードになります。
次に、パソコン本体を正面から見た時の幅を調べてください。
15cm以上あれば標準サイズ、15cm以下であればLow Profileサイズのカードになります。
もし、二つの条件より値が大きかった人は「確実に装着可能」
小さかった人は「説明書を参照」といった結果になります。
大は小を兼ねるといいますので、標準サイズのコンピュータにLow Profileのカードを入れても全く問題はありません。しかし、その逆は無理です。
※一部カードによっては例外があります。
標準サイズおよびLow Profileのカードには最大の「ここまで」といったサイズが定義されています。
しかし、都合上そのサイズを超えてしまったカードでも「Low Profile」カードとして世に出回っている場合もあります。
間違ってそのカードを買ってしまっても、店に説明をすれば返品可能です。
もちろん、パソコンにぎりぎりでも良いので入ったらそれは大事に使ってあげてください。
結局どのようなグラフィックボードを選べばいい?
| 用途\性能 |
メモリバス幅 |
クロック数 |
メモリタイプ |
スロット |
ゲーマー
(PCゲーム一日2時間以上) |
256bit以上 |
コア:
500MHz以上
メモリ:
2GHz以上 |
DDR5以上 |
PCI-Express |
ほどほど
(PCゲーム一日30分以上) |
64〜128bit |
コア:
400MHz程度
メモリ:
1GHz程度 |
DDR3〜DDR4 |
AGP
PCI-Express |
あまり
(PCゲームしない・一日10分程度) |
64bit |
コア:
300MHz程度
メモリ:
400MHz程度 |
DDR2 |
AGP
PCI |
主にいえばこんな感じです。
RadeonシリーズにはHDシリーズというものがあります。(Radeon HD2600など)
これは、Xシリーズよりもさらに性能を上げたものであり、その名の通りHD画質をフルに扱うような人でないと使わないと思います。
別にそんなに性能を必要としないのに、性能の高いカードを無理に買っても
単にお金の無駄ですので、張り切って買わずに慎重に見極めて買った方が良いと思います。
なお、Geforce5000シリーズやRadeon9550シリーズは現在調べてみてもあまり取り扱っている店が
少ないので、もしないようであれば仕方ないと思ってワンランク上のグラフィックボードを買っても特に支障はありません。
グラフィックボードを買ってからの流れ
1.前のパソコンに入ってたディスプレイドライバを削除する。
2.その後、コンピュータをシャットダウンさせる。(休止状態やスリープは×)
3.パソコンのコンセントを抜き、接続されている全てのケーブルを抜く。
4.念のため、ドアノブなどに手を触れて、静電気を放散させておく。
5.説明書の方法に従って、パソコンを開ける。
6.説明書を見て、買ってきたグラフィックボードをどこに挿すか確認。
7.(パソコンがLowProfileの場合)ナットを使って、ブラケットをLowProfile用に改造する。
8.説明書の注意点を読みながら、グラフィックボードを装着する。
9.装着後、上から軽く押さえてきちんと入っているか確認。
10.説明書の方法に従って、パソコンを閉める。
11.全てのケーブル類を、説明書の方法に従って接続する。
12.スイッチをオンにする。
13.パソコンが起動すれば、NVIDIAまたはATIのページへ行き、ドライバをダウンロードして、インストールする。
14.再起動の指示があれば、再起動。
15.再起動後、グラフィックボードが利用可能になります。
・・・・あとはご自由に。
13〜14の手順の間でパソコンが止まったり、おかしな動作をした場合は、パソコンに詳しい身近な人に相談してみてください。
いない場合は、購入店または近くのパソコン専門店で診断を受けてもらってください。
Q&A
ここはTipsを始めて以来のQ&Aコーナーです。グラフィックボードに関してよくある質問をまとめています。
Q:「地雷」とは?
A:インターネットの掲示板などでよく呼ばれている「地雷」というのは、本来出せるはずの性能がカードを
作った会社などの都合で特別に下げられているカードのことです。これを見分けるには専門の知識が必要で、
あとから友人に「これ・・・・地雷カードだよ」などといわれても、映像に不具合が出たりすることはありません。
他の会社の同じGPUを搭載しているカードと比べて、少しだけ性能が落ちているカードのことを地雷といいます。
決して欠陥品や、初期不良品などではありませんので、誤解しないようにしてください。
もし自分のカードが地雷とわかっても、別に焦ったり、ビックリしたり、動揺したりする必要はありません。
逆に地雷ではないカードに比べれば、寿命が少しだけ長くなるかもしれないというメリットもあるのですから。
Q:動作クロック数を上げたり下げたりできる?
A:できますが、やりすぎには要注意です。ATI ToolやRivaTunerなどのソフトで、クロック数を調節することができます。
しかし、下げすぎるとバランスが合わなくなりフリーズ、上げすぎるとグラフィックカードに負担がかかり、最悪壊れてしまうこともあります。
「もう少し性能が上がらないかなあ」 こういう考えを持っている方への最終手段ですので、容易には使わないことをお勧めします。
Q:あとからGPU(コア)を変えることはできる?
A:グラフィックカードを変えると可能ですが、グラフィックカードを取り変えずにGPU(コア)だけを交換することはできません。
Q:新製品が出たので取り外しても良い?
A:容易にいらなくなったからといって新しいカードを買うのは無駄な出費です。
基本的には壊れるまで使うのが理想的ですが、「ゲームがカクカクする」などの理由で"変えなければ未来がない"などといった
覚悟のある人のみ取り替えができると思ってください。
取り付けることは意外に簡単です。しかし、取り外すとなると専用の爪を外したりする必要があり、
下手をするとカードを割ってしまったり、破損させてしまう可能性があります。
容易にグラフィックカードを取り替えるのは禁物です。(もちろん、取り替え経験999回などという人は禁物の逆の歓迎です。)
Q:グラフィックボードのメモリは交換できる?
A:グラフィックカードを交換すれば可能ですが、グラフィックカードを取り替えずにメモリだけを交換することはできません。
Q:PCIスロットにPCI-Expressのカードは入る?
A:物理的に入りません。
「名前がちょっと違うけど入るはず」という誤解で店に行って買ってきて、パソコンを開けて付けようとしたら付かないというトラブルが多くあります。
PCIとPCI-Expressは名前が似ていて姉妹規格のように見えますが、規格自体は全く異なります。要注意。
Q:動作するかどうか不安...
A:kakaku.comなどのクチコミサイトで買おうと思っている製品を検索して、その製品のクチコミを調べてみてください。
何もクチコミの書き込みがない場合は自分の気合いのみで勝負ですが、何か書き込みがある場合は、「ちょっとした支援」になります。
「他のパソコンで動いたから自分でも動く」 パソコンのパーツでこれが通用する方が珍しいですが、
不安な方はkakaku.comなどのクチコミサイトを、あるいは他の人から回答が欲しい場合は
パソコンのQ&Aサイト、あるいは2ちゃんねるなどの掲示板から回答を得るとよいでしょう。
Q:パソコンに入りきらないようなカードの時、どうすればいい?
A:諦めるほかありません。
専門の知識がある方ですとパソコンの中を改造して無理に取り付けたりしますが、初心者でそのようなことをすると大変危険です。
「ここにもネジがある」みたいな感覚で勝手に外していくとあとで取り返しの付かないことになるので、入らないとわかったら素直に諦めて、
購入店に相談し返品してもらうか、中古ショップなどへ行って売るなどの対応をとる必要があります。
そのようなものは自分の手元に置いておいてもディスプレイ(飾り)程度にしかなりませんので。
Q:「ハイエンド」「ミドルレンジ」「ローエンド」って何?
A:これは、GPUの位を表します。
ハイエンドが「かなり性能の良い」 ミドルレンジが「まあまあの性能」 ローエンドが「ほどほどの性能」といった感じです。
ただ、これはカードを作っているメーカーが決めるのではなく、GPU(コア)を作っている
NVIDIAまたはATIが決めることですので、これについては誰も逆らえません。
まとめ
・グラフィックボードは映像を出力する装置。
・映像の出力先は、普通のモニターでもよし、TVでもよし。
・グラフィックボードの性能はクロック数・規格などで決まる。
・用途に応じて色々な性能を持つグラフィックボードを選択可能。
・ボードを取り外す時は必ず説明書を読むこと。破損の恐れ有り。
・LowProfileのパソコンの場合、それにあったグラフィックボードを。
・クロックアップは自己責任で。
このページの更新
2007/12/30:初版制作。
2010/4/5:第二版更新。文章を一部修正。
近年、ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドの区分が複雑になっているため、シリーズごとの性能に関する記述部分を削除。
その他更新部分に記載のないものについては、ほとんど初版制作日現在の情報です。
|